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院長コラム:血液さらさらを考える(2)

血液さらさらを考える(2)

前回も書きましたが、血液さらさらにする薬には2つのタイプがあります。1つは抗血小板剤(バイアスピリン・プラビックス・プレタールなど)というタイプの薬で、もう1つは抗凝固剤(ワーファリン・プラザキサ・イグザレルト・エリキュースなど)という薬になります。

右の絵のように血管の動脈硬化が進行していくと、血管壁が傷つきやすくなります。そして、動脈硬化によって徐々に血管の内腔が狭くなっていくと、血小板(血液を固める成分)が活性化して血栓が作られます。この時にできた血栓が脳血管を詰まらせると脳梗塞となり、心臓を栄養する冠動脈を詰まらせると心筋梗塞を発症します。

つまり、これら血小板が主に関与している血栓を予防したい場合は抗血小板剤を使用することになります。

また、血液の流れが遅い静脈で生成しやすい血栓があります。この血栓が作られる主な原因としては、不整脈の一種である心房細動があります。心房細動では、心臓がうまく拍動せずに細かく震えているだけの状態となっています。ですから、心臓の拍動が上手くいっていないために血液の流れが滞ってしまい、結果として血栓ができてしまいます。この時にできた血栓が脳に飛ぶと脳塞栓(心原性脳塞栓症)を引き起こしてしまいます。そのため、この心房細動による血栓の生成を予防したい場合は、抗凝固剤を使用する必要があります。

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手術後や長い時間飛行機に乗っている状態(エコノミークラス症候群)などでは、長時間の安静を保つこととなり、同じように血栓が作られやすくなります。そのため、これらの患者さんに対しても抗凝固剤が使用されます。

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左上が正常な心電図で、右上が心房細動の患者さんの心電図です。正常の人では、一拍一拍の脈がリズムよく刻まれるのに対して、心房細動では不規則に刻まれます。この心房細動では高頻度に血栓を作ることが知られており、抗凝固剤の使用が必須です。

次回は抗血小板剤についてお届け致します。