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院長コラム:脳出血について(4)

脳出血について(4)

今回から脳出血の治療についてお伝えしていきます。脳出血の治療というと、皆さんは手術をイメージされるかもしれません。2009年の日本全体の調査では、右のグラフのように手術するケースは全体の1/5程度しかありません。多くは手術しないケースで、いわゆる内科的治療という方法で治療するケースです。具体的には、(1)血圧のコントロール (2)脳の腫れを抑える点滴 (3)全身状態の管理 (4)早期からのリハビリテーションなどを行うのが一般的です。内科的治療を行った患者さんの経過をCT画像で見てみます。

院長コラム:脳出血について(4)

76歳 男性 診断:高血圧性脳出血(被殻出血)

院長コラム:脳出血について(4)

上のCTは同じ患者さんの、同じ部位のCTを時間を追って見ています。白く映る部分が出血です。

7日目には出血の辺縁がボンヤリしてきて、全体的に色が薄くなってきています。14日目には更に辺縁がボンヤリとなり、出血が吸収されてきているのがわかります。25日目には、その写真だけ見ても出血の存在がはっきりしないようになっています。脳の中でも、手足を打撲して皮下出血した時と同じように時間が経過すれば、出血は徐々に吸収されていくものです。

手術をするか内科的治療になるかを判断するのは、病院によって大きく異なります。基本的には(1)出血した部位 (2)出血量 (3)現在の症状 (4)患者さんの年齢や既往歴などによって決まります。出血した部位でいえば脳幹に出血しても手術は行いません。出血量が少ないものでも、まず手術することはないです。高齢者や大きな持病を抱えた患者さんでも手術を回避することが多いようです。手術するからには、内科的治療よりも明らかなメリットがあると判断されるようなケースでないと手術するものではないと考えていただければよいかと思います。

次回は外科的治療方法についてお伝えします。