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院長コラム:もやもや病(1)

もやもや病(1)

今月からテーマが変わり、もやもや病についてお届け致します。
もやもや病は英語表記でもmoyamoya disaseと記載される病気です。この名前は、東北大学脳神経外科教授である鈴木二郎先生が1969年に論文発表された病気の概念です。以前はウイリス動脈輪閉塞症という堅苦しい名称が正式名称でしたが、2003年からはもやもや病という名称が正規名称として認証されました。

もやもや病の原因は今のところよくわかっていません。病態としては、内頚動脈の終末部が進行性に狭窄・閉塞することです。下の絵のように正常ならば、左右対称に大きな血管が末梢まできちんとでているのですが、もやもや病では、大きな血管の閉塞によって代償的に、穿通枝という小さな血管が異常に拡張していきます。その小さな血管がタバコをくゆらした際におこる煙のように、もやもやと見えるので「もやもや病」という名前がつけられたわけです。決して頭がもやもやするから「もやもや病」という名前がつけられた訳ではありません。

院長コラム:もやもや病(1)

このもやもや病という病気は東アジアに大変多い疾患で、今までの多くの研究は日本人によってなされています。

日本全体4000-5000人程度の患者さんがいらっしゃって、1年間に人口10万人あたり0.35-0.5人程度がもやもや病を発症すると言われています。当院でも過去6年間で新規に3人のもやもや病患者さんを見つけましたので、その数字は大変納得いく数字であります。

男女比は1:1.7とやや女性に多く、年齢としては5歳前後40歳前後で発症するケースが多いと言われていますが、最近は高齢化が進み、高齢者の発症も散見されるようになってきています。

また約10-15%で家族癧があると言われています。ですから、三等親以内のご家族にもやもや病の患者さんがいらっしゃる家庭は、もやもや病をおこす可能性が少し高いと考えていいと思われます。

この疾患は、厚生労働省が認定する難病疾患の一つとして認定されていて、認定基準を満たした患者さんの医療費は公費負担の対象となっています。

次回はもやもや病の症状や検査などについてお届け致します。